もともと美術や絵はわりと好きで、「絵に興味があるなら、美術解剖学はやったほうがいい!」とイラストレーターの人から聞いていたのもあって、神経とか筋肉とかなんとなくの興味はずっともっていました。
かのダヴィンチが若い時に解剖学を熱心に学んでいたというエピソードはわりと有名で、絵と解剖は意外と近いジャンルだったりもします。これ、リアルより人体の絵をかく場合のことと思われがちですが、意外とアニメ的なデフォルメされたキャラをかきたい場合にも役立つ印象です。
そんな中でたまたま「人体」の話題の中でもとっつきにくそうな「神経というジャンル」を「おもしろく語る本」に見える本に出会ったので読んでみました。
ブードゥーの俗信に「ゾンビ」というものがあります。半分崩れたような死体が化け物となって襲ってくるみたいなこわーいお話です。このホラーのゾンビを切り口にして神経科学を学ぶというおもしろ本がありました。
「ゾンビでわかる神経科学」という不真面目に見えて意外と真面目な本です。
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どこまでほんとか謎のような「へー」と思った話としては
首なし鶏マイク
農夫が鶏を食べようとして首を切り落としたら、普通なら絶命する首を斬られた鶏が、そのあとも何か月も生存していたという話。偶然にも生命維持はできるという位置で首をきったようで。
鶏の脳の中の運動を司るエリアは損傷しなかったのでこうなったらしいです。
(WIKIPEDIAにも乗ってました)
などでしょうか。「小脳=運動を司る」みたいな脳の話題に興味がある人には面白いと思います。
また、ゾンビは死後どれくらいでゾンビとして蘇生するかによって、素早いゾンビとノロマなゾンビ的に分類が可能という分析などもありました。
蘇生までの時間によって、脳のダメージ度合いが変わるので、ゾンビ化症候群についてそれで段階を分けて考察。「ADHD」ならぬ「CDHD」(意識欠陥活動低下障害、と定義されてました。
Consciousness Deficit Hypoactivtiy Disorder
(なお、この英単語は最初をConsciousness(意識)ではなく Attention(注意) にするとADHDになりますW )
最初は知らない単語ばかりで面倒な本だと思いながら読んでいたのですが、途中から笑いをこらえながら読んでしまいました。
(ホラー映画トークから、強引に神経科学の大学1年生(もしくは高校生)向け授業みたいな中身にもっていく展開のしかたが笑えて。。。)
「「神経科学」という話題に興味がある人」&「ゾンビのようなホラーが嫌いではない人」に向けた本、というすごくニッチな本だと思いますが、「人体」というものに素朴に興味がある向きにはおすすめです。
この手の本は一歩間違えると「ただの映画ファンが映画の感想を語っているだけ」みたいなものになってしまうのですが、そこは神経科学の専門家が書いているだけあってちゃんと神経科学を(雑学的に)学べる本になってました。
解剖関係の情報に触れる時にわりとよく感じることなのですが、「人体の仕組みってすごいな!」という素朴な感動があります。ちょっと敬意に近い感動みたいな。
「心臓っていつも動いてててすごい」みたいな(笑)
私はクリスチャンではないので「デウス(キリスト教の神)が人間を作った」という信仰はもっていません。ただ、「ホモ・サピエンスの人体って設計図書いた存在がいるとしたら、すごい天才だよね」という念はなんとなく持ってしまうと思います。
※余談
そういえば、(育った環境によりますが)現代の日本社会で生活していると、人骨というものに対してある種の信仰的パワーを見るようになることがわりとあるようです。
例えば仏舎利(オシャカ様の骨とされるものへの信仰)も骨をあがめている信仰の1つの例ですし。仏教的な輪廻転生の世界観の視点からいうと「骨って、輪廻転生したあとの魂が抜けた物体」でしかないので実は不思議な信仰ではあるのですけど。
砂漠の遺跡の発掘作業を国際チームでやると、白骨が出てきた時にアラブ系の人は何の精神的ダメージも受けないが、日本人は精神的ダメージを受ける人が多い、のだとか。
現代社会的には少し難しいのかもしれませんが、学問の発展のためには「魂はとっくに来世に転生しているのだから、遺跡に埋まってる骨などただのカルシウム(もしくはただの塵)にすぎない」くらいの仏教的な世界観をインストールしておくことが意外に重要なのではないか、ともなんとなく感じました。
先進国の現代人は、宗教的世界観を遠ざけたゆえに逆に不自由になっているところもあるのでは、という気がすることもありますので。
例えば、「転生」という設定を社会から消してしまったことで「死んだら終わり」という絶望感が増えてしまうことがある、みたいな。
(最後に強引に仏教ネタかいって突っ込んだ人、はい、そうです。明治以前の宗教観が素晴らしいと思ってますので。)
